1円でもあわないと帰れない?25億円あわなかった話とシャッターが閉まってからの銀行の仕事

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銀行の営業時間は実は法律によって決まっています。通常は平日の9時〜15時までが窓口の営業時間です。

「じゃあ銀行員は15時過ぎたら何やっているの?」というのが今回のエントリーです。その昔、私が銀行員であったころの、とある支店での一日を思い返して時系列にエピソードとしてまとめてみました。

ちなみに融資担当者としての一日です。窓口担当の女性なんかはもう少し違う中身になるとは思います。ただ、融資課でなくとも預かり資産のノルマがあるなど男性女性、年齢なんかはそこまで大きく変わらないかと思います。

7:30 出勤

大体これくらいの時間には出勤していました。支店の周りのゴミ拾いから一日が始まります。

行員通用口の鍵は課長以上が持っていますのでまだ銀行内には入ることができません。下っ端の仕事は、まずは支店の周り、周辺道路や駐車場を掃除によって綺麗にすることです。大事なのは「掃除しているぞ!」アピールです。銀行は往々にして地域貢献を掲げています。地域のために汗をかいているぞというのを周囲に示す必要があるんです。

だから私は特にゴミが落ちていないような日でもほうきとちりとりを持って支店の周りをぐるぐる回っていたこともありました。

8:00 解錠

課長が出勤してくると勝手口を解錠します。この頃には無役付者全員が出勤してきており、支店長以下管理職はまだ出勤していません。出勤から解錠までの間外でぼっと待つのです。

いざ解錠になったら、まず課長などの役付きが先に入場して、その次に非役付者が入行年次順に入場します。支店に入る順番も決まっているんです。下っ端はその間勝手口の扉を開けておく役割です。

8:15 臨店

半年に一度くらい「臨店」という行事がありました。

これは、銀行員が銀行の顧客情報などを持ち出していないか?不適切な取扱いをしていないか?という抜き打ち検査のことです。問答無用で所持しているカバンの中身をチェックされます。

今だから言えますが、どうしても終わらない仕事は顧客情報を抜いて、資料をこっそり持ち帰っていたこともあります。その時はこの臨店がないかどうかとても不安でしたね。たとえなくなったとしても問題ない資料であっても、顧客情報まで持ち出しているんじゃないか?とあらぬ疑いをかけられることがありますからね。

また、私物を保管するロッカーや机の中も見られます。朝からガサ入れされるので当然汚いまま。「机の中が汚いヤツは仕事も汚い」などと怒られるんです。でもまあ、丁寧な仕事をしている人は机も綺麗だったと思います。

8:30 支店長出勤

副支店長以下全員が出勤した後、最後に支店長が出勤します。支店長が出勤するなり、まずは副支店長が支店長のデスクに挨拶に行きます。続いて課長、代理など役付者、次はそれ以外の者が入行年度順に支店行員が、一列に列を作り支店長に挨拶します。この挨拶イベントだけで5分くらいかかります。

8:40 渉外会議

その日どのお客さんに何を売りに行くのか、という会議です。各人の獲得ノルマから乖離があったりすると最初にここで詰められます。融資の方向性会議もここで行います。

9:00 開店

開店です。シャッターが開きます。こんなに朝早く来るのは高齢者が多かったですね。年金支給月である偶数月の15日は戦争でした。

9:30 延滞チェック、督促架電

前日までの貸出金の返済状況をチェックします。期日までに返済がなされないことを「延滞」といいます。常連の延滞者には毎日督促電話をします。延滞先数もノルマですのでその火消しに必死です。

10:30 外出、融資営業

私は法人向け融資の渉外係でしたので、事業規模や資金需要を勘案した融資提案を行いに外出します。どこもそうですが、会社に閉じこもりのままだと上から怒鳴られますので支店にあまりいたくありませんでした。

12:00 帰社

3社くらい訪問した後に帰社します。帰社後は、稟議書の作成の期日が迫っていますのでお昼ご飯は食べません。

13:00 貸出稟議書の作成

稟議書とは、偉い人から貸出の決定の認可をもらう書類のことです。

最終決定者(決裁者)は銀行の役員〜支店長まで様々ですが、書いてある中身は

「どの取引先に、いくら貸して、金利はいくらで、期間はどれくらい貸すのか、なんでこの取引先に貸すのか?貸すことで銀行にどんなメリットがあるのか?危険性はどれくらいなのか?」

ということを難しい書き方にして、文書量をかさ増ししたものです。

ブログとかでもそうかもしれませんが、書類はがんばった感を出すのが大切です。文字数もがんばって稼ぐんです。

私が昔書いた、シンプルで要点だけ書いた稟議書は「魂がこもっていない!」などと課長に破り捨てられました。銀行の稟議書においては、シンプルはよくないんです。

融資担当者はこの稟議書の作成に命を削ることになります。誰が見ても、「この取引先にお金を貸したくなる」書類に仕上げる必要があります。内容によっても違いますが2時間〜2日くらいこの書類の作成に費やすこともあります。

15:00 閉店

シャッターが閉まります。窓口のお姉様方はこの段階から、銀行の「勘定」を合わせる作業に取りかかります。

「勘定を合わせる」とは、9:00時点の預金の総残高と営業を締め切った15:00時点の総預金残高をオンライン残高と合わせる作業をいいます。

銀行の預金残高はオンライン化されているので、現時点での残高は即座にわかります。ですが、オンラインの残高と実際の手元の残高があわないことがあるのです。

銀行の事務は実にアナログで、手作業による現金の整理や、雑多な経費などをオンラインに反映させていないなどの、ちょっとしたことでこのオンラインと実際の預金残高のズレが発生するんです。

1円があわない、ということはありませんでしたが、400円合わない、とかはありました。

銀行員はこの数字を見るとピンとくるのですが、恐らく「印紙税」の勘定があわないことが考えられます。窓口で頻繁に使う200円の印紙2枚分の金額だからです。残高が合わないときに活躍するのはベテランの一般職の女性です。ものすごく勘が良いです。頭が上がりません。

最高で25億円、オンラインと勘定があわないことがありました。とてつもない金額に思えますが、ここまであわないとなると要因が限られてくるので原因究明がしやすいんです。本来であれば「入金」勘定で処理しなければならないのに「出金」勘定で処理した場合などです。とてもありがちなヒューマンエラーです。金額が大きくても法人関係であれば、銀行の手違いであってもミスは大事にならないことがほとんどです。

問題になるのは、6万円あわないとか、金額が少々リアルな場合です。窓口で「過払い」しているケースが考えられるからです。手違いをしてしまった相手が個人だった場合、いくら銀行のミスで誠心誠意謝ったとしても「知りませんよ」だとか「そっちが悪いんでしょ」と言われたら終わりです。

「現金その場限り」というのが銀行にはあります。紙幣には名前がついていませんから、「その現金は銀行のものだ!」とは主張できません。現金をお客さんに渡すとき、「その場で」確認をしなければ間違いを指摘する権利は銀行にはないのです。

いくら頑張っても、過払いの問題が解決できない場合は事故として処理されます。支店全体のペナルティとなります。減点主義の銀行ではこのミスを取り返すのは容易ではないんです。いくら営業成績が良くたってこうなったら最後です。現金は少額ほど怖いんです。

17:00 本日二回目の渉外会議

今日一日の成果を報告する会議です。ここでは朝の会議で発言した内容が実行されていなかったりすると、皆の前で詰められます。

17:45 支店長退社

支店長が退社する時までさすがに一列になったりしませんが、全員が起立をして支店長を見送ります。

18:00 融資営業

本日二回目の融資営業。社長などの実権者が昼間いない場合などは夜中に外出します。そのままお客さんと飲みにいって契約がもらえることもあります。

20:00 稟議書作成続き

外出から帰社後は日中ばたばたして取りかかれなかった融資稟議を仕上げます。お昼ご飯も食べていないので、腹減ったなあなどと思いながら。

23:00 退社

ここまでやっても書類の作成が終わらないので、終電がなくなる前に帰宅します。しかし帰りたいときに限って課長に「飲みにいく人ーーー!」などと断れないお声がけが、この時点でありますので、たとえ週明けの月曜であろうと2件くらいは飲み屋をハシゴします。

02:00 帰宅

タクシーで帰宅。お風呂など最低限すませて布団に入ります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。世の中には色んな職業がありますので、「これは大変だ・・・」と思われた方、「え、銀行ってこんな楽なの何不幸自慢してんの」と思われた方など様々だと思います。

私も銀行在職中は、例に挙げた1日より大変な部署にいる人のことも知っていましたし、ぼーっと一日を過ごして17時に帰る人も知っていましたので、これが銀行員のすべてではないとは思いますが、ひとつの目安にはなるかと思います。

 

 

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