保証協会付の融資の取扱いを誤ると一般銀行員でも逮捕される可能性があります。
今回は、一銀行員の教訓を事件を知らない方に共有します。
国による新型コロナにかかる中小企業の事業支援
新型コロナウィルスの流行により、政府は日本政策金融公庫を通じて中小企業の事業支援をすることを表明しています。
中小資金繰り支援「無利子・無担保の貸付」 首相表明
安倍晋三首相は7日、首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部会合を開いた。個人事業主を含む中小・小規模事業者を対象に、金利などの条件を大幅に緩和した貸付制度を創設すると表明した。日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資をする」と述べた。
出典:2020/3/7 日経電子版
リーマンショック、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、東日本台風など、ここ10年で政府は景気悪化や大災害の都度、日本政策金融公庫による債務保証を通じて、融資という形で困窮している中小企業に資金供給をしてきました。
要するに、「銀行が融資をして潰れても全責任は国が持ちますよ!だから安心して貸してやって!」ということです。
「補助金」ではなく「融資」という形態なのは、国は返済のあてのない補助金は出したくないからですね。一応、国としては金融機関というフィルターを通した上で、金のばらまきをしているわけです。
当然、借りたお金は返す必要がありますが、中小企業としては国の保証を得て破格の条件で金を借りられるのは、やはりおいしいわけです。
銀行もおいしいです。民間金融機関は、日本政策金融公庫が保証している「各信用保証協会」を通じて、保証付きの融資という形で中小企業に融資します。
これにより万が一、銀行としては貸した先が破綻しても、ほぼ全額国が肩代わりしてくれますから、貸し手としてもおいしいわけです。
そんな、借り手も貸し手も美味しい制度ですが、対応を誤って逮捕された事例があります。
東日本大震災特別保証悪用を指南したとして逮捕
詳しくはこちらの本をご覧ください。
元銀行員の佐藤さんは、信用保証協会の保証付き融資を悪用したとして東京地検特捜部に逮捕され、実刑判決を受けています。
詳しい内容は上記リンクに譲りますが、ここでのポイントは
「銀行員も最悪の場合何らかの事件に巻き込まれて逮捕される可能性がある」
ということです。
不用意に事件に巻き込まれないために
もしあなたが法人融資担当者で、以下に当てはまるようなら注意してください
- 信用保証協会に提出する書類について、売上減少を適切な方法で記載していますか
- 融資の見返りに預金・投資信託や保険等の金融商品・クレジットカード等の契約をしていませんか
- 銀行決算期である3月の案件として支店長から貸増を指示されていませんか
銀行はここぞとばかりに政府保証の効いた安全な融資残高を増やしたくて、担当者に発破をかけるのでしょう。借り手の中小企業も長期・低金利など格別の条件ですからWin-Winですよね。
でも、やり方を誤るとちょっとした綻びによりあなたが逮捕される可能性があります。
セーフティネット保証は、困窮する中小企業の事業支援のために存在します。
銀行員をやっていると様々な外圧があります。しかも年度末ということもあって、我を失うこともあるかもしれません。迷ったのなら、基本的なことに立ち返りましょう。
銀行員が逮捕される事態を避けるには
結論:早めに転職するべき
銀行のために、あるいは取引先の中小企業のために一生懸命仕事をしたとしても、佐藤さんのように事件に巻き込まれる可能性があります。
融資担当者はリスクを伴う仕事です。
仮に、ちょっと気がかりな融資案件が事件化しなかったとしても、銀行監査、金融庁検査などでの訴追リスクが付きまといます。恐らく誰もあなたを守ってくれないでしょう。
ドラマ「半沢直樹」で描かれる世界は、大げさではない面もあります。
実際に、佐藤さんの著書を読むとこんなことが現実にあり得るのだと驚愕します。私も銀行に勤め続けていたらもしかすると巻き込まれたかもしれないと思うと戦慄しますね。
私は銀行から転職して環境が一変しました。
拙い体験談ですがもしよろしければご覧ください。
もちろん、すぐに辞めるということはできないかもしれません。
でも、いざというときのために準備できることもあると考えます。
銀行員の転職先として人気の公務員ですが、昨今はなかなか厳しいです。
公務員としての転職に踏み切る前に、しっかりと自分のキャリアを見直す必要があります。