GPIFが所有していると思われるハイイールド債は大丈夫?という話です。
ハイイールド債とは
前回記者会見での一番の要旨は「2Q(直近四半期)は運用成果マイナスだったけれども、平成13年度運用からの累積トータルは年率2.79%の収益率。(だから今回損失あったけど、たいしたことないよたぶん)」ということだと思います。
記者会見後のマスコミ各社の報道は、やはり損失について大きく採り上げるものが多かったのですが、それでもまあそこまで炎上してないようにも見えました。
実は記者会見の際、かなりの時間を割かれていたのが、年金ポートフォリオにおけるハイイールド債についての説明です。
ハイイールド債とは、外国の債券市場において格付が一定以下でちょっとリスクあるけど、それなりのリターンが期待できる債券のことです。投資信託としても一般的で、証券会社・銀行でも広く販売されています。
以下私の上記エントリーより、GPIF記者会見からの引用です。
・欧米ではハイ・イールド債の組み込みは一般的。
・格付は合併等一時的な要因で左右されやすい。例えば日本(社債)であればソフトバンクやソニー等の会社も含まれているし、海外であればノキア、テレコムイタリアも含まれている。
・ハイ・イールド債の9割以上は格付B以上でありデフォルト(債務不履行)率は1%未満である。
・他の資産クラスと逆の動きをすることが考えられるので分散投資先として有効。
・ギリシャ国債はポートフォリオに含まれていない。
記者会見を聞いているときには「ポートフォリオに結構ジャンク債含まれているのねー。外国債券の30%がアクティブ運用だから、仮にだいぶ多めに見積もって10%くらいがハイイールド債として、9月末の総資産135兆円の1.4%程度?約1.9兆円くらいかな」などと考えていました。
ここ最近のハイイールド債の動き
そんでもって、ガソリン価格などで生活実感のある一段と下落している原油価格の話や、明日もしかしたら発表があるかもしれない米国利上げの話と共に、ハイイールド債についてこんな話が出てきました。
超ざっくり要約すると、
- ハイイールド債の多くを占めるのは社債の償還期限が長いエネルギー関連会社
- 原油安が進んでるしヤバいかもと危機感を持った投資家が、ファンドのお金を引き上げつつある
- ハイイールド債は利回りの良さから、個人投資家でも手軽に買える投信として多く設定されている。社債の償還期限に比して解約が多いと、解約金を渡すための手元のお金が足りない!
というところでしょうか。
記者会見の時には、当然こういった動きがあるのはわかっていたのでしょうけどね。
でもまあ仮に1.9兆円が半分になったって1兆円の損ですから、他資産クラスで十分取り返せそうですし、7.9兆円の損失に比べればインパクトがない。そんなに気にすることでもないかもしれないですね。
個人投資家は・・・
それより、銀行や証券会社からハイイールド債を購入した個人投資家の方のほうがこのニュースは注目すべきでしょう。動向が気になります。
そういえば、GPIFでツイッター始めたんですね。YouTubeの記者会見配信再生回数を見るとちょっと少ないように思いますので、ぜひツイッターを活用して情報発信していって欲しいですね!