【就活】銀行員のハンコの「おじぎ」押しは本当なのか?とある銀行の場合

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少し前に、会社でのハンコの押し方が話題になりました。

ハンコを押すとき、まっすぐ押す人がほとんどだと思いますが、金融業界では左斜めに傾けて押す慣習が存在するそうです。最近、テレビや雑誌で取り上げられて話題になっています。そこに込められた意味は「部下が上司にお辞儀するように」。稟議書(りんぎしょ)などは地位の高い人が押す欄が左にあることが多いため、確かにお辞儀しているように見えます。

headlines.yahoo.co.jp より

 

では実際にはどうなのでしょうか。

 

 

ハンコは「おじぎ押し」が当たり前。支店長も。

結論から言うとみんな時計の針でいう11時の方を向いて押していました。おじぎ押しです。

上司から特段指導などは受けていませんでしたが、自然と斜めに押印していました。右手で押印する場合、よくあるシャチハタのスタンプだと人差し指が自然と左側に斜めになるから、何も考えずに押しても斜めになっちゃうのかもしれません。銀行はとにかく書類にハンコ押しまくります。一つの稟議書で10カ所以上とか。

最近の稟議書なんかはほとんど電子化されていますが紙ベースの資料だとおじぎ押しのオンパレード。本店への提出資料ともなると支店長の押印さえも、気持ち斜めになっているような、そんな感じでした。

決裁者のハンコの押し具合によって融資判断!?

ハンコの斜め押し問題よりも更に不思議な文化がありました。

稟議の決裁をもらう時には最終決裁者のハンコの押印があると思うのですが、たまにその最終決裁者のハンコが欄外の枠線にかぶっていたりだとか、時計の針でいう「2時」になっていたり(ふんぞり返ってる感じ?)するんです。

そういう押し方をすることで、上位の決裁者は案件の方針表明をします。ハンコ欄は決裁者の意見表明の場でもあるということです。相当回りくどいですけど!

考えようによっては効率的?

このやり方、ちょっとした意見表明には向いています。最終決裁者がそれまで決裁してきた人たちに自分の意思(「俺は本当は反対だよ!」)を一人ひとり個別に表明するには非常に手間がかかります。

稟議書の作成の際は、起案した担当者から上司のハンコをもらい、更にその上司・・・となると営業店だけでハンコは4、5個押されることになります。それが本店への申請書類ともなると上位の決裁者にハンコをもらうまで1枚の紙に10個近くハンコが押されることになります。そのハンコを押した人全員に最終決裁者の意思を伝達するのは容易ではありません。銀行はとにかく責任の所在を明確にする組織なので、ハンコを押した者は、その決裁者の意思を知らなかったといっても済まされません。

だから手っ取り早くハンコの向きを変えることによって、「本当は反対だけど仕方なく押すんだからな!次はないぞ!」ということを簡単に表明し、ビジュアルで伝播できるのです。

なんと風通しの悪い・・・

銀行員はハンコの押し方はうまくなる

これだけハンコを押しまくっていると銀行員はハンコの押し方うまくなります。といっても大したコツはありません。道具にこだわれば一発です。それは適切な捺印マットとスタンプ台を使うことです。

 

シヤチハタ 速乾朱肉40号  MQN-40

シヤチハタ 速乾朱肉40号 MQN-40

 

 

コクヨ 捺印マット 携帯用 IP-900N

コクヨ 捺印マット 携帯用 IP-900N

 

 

捺印マットもスタンプ台も、あまりへたらないから買い換えませんよね。個人だと滅多に使わないし。けれど、騙されたと思ってこの二つを替えると、あらびっくりとても綺麗に捺印できるようになります。特にスタンプ台を替えたときの効果は絶大です。速乾は当たり前。にじまないし印影も綺麗です。間違ってもハンコケースについてくるおまけの朱肉は使ってはダメです。

融資契約書の思い出

融資契約書類は実印の押印箇所が何十カ所にも及びます。当然ミスは許されません。契約書の押印がにじんでいたり、かすれていたりなんかした日には、銀行内の厳しい監査によってたちまち指摘を受けて「ダメ人間」の烙印を押されてしまいます。特に「かすれ」についてはよく起きがちです。万が一、後日かすれに気づいてしまったら、なんとしてでもお客さんから再度捺印をもらう必要があります。初心者のころはよく片道二時間かけて訂正印もらいにいったりしてました。

それに懲りてからは、お客さんにハンコを押してもらうときも、極力自分で持ち込んだ捺印セットで押印してもらって、押印ミスを排除していました。そこでお客さんも気づくんです。「ハンコ押すの苦手でずっと銀行の人に押してもらってたけど、押し方悪いのは道具のせいだったんだ」って。

電子化によってこの文化は消えゆくのか

銀行内のシステムは非常にアナログです。特定のフォーマットはすでに電子化が進んでいますが、それ以外の雑多なものはまだまだ紙ベースの書類が多いです。せっかく電子化されて申請システムまで出来上がっているのに、わざわざシステムの画面を印刷してハンコをもらうくらい紙とハンコが好きな組織です。それほど押印という文化が根付いているんです。

でももしかしたら個人レベルではもうハンコは不要になる世の中になるかもしれません。マイナンバーが完全に普及して、民法も改正されて個人認証もハンコに頼らない世の中になったら、その時はハンコ文化の終焉かもしれませんね。