銀行員の決算書の見方シリーズ基礎編① みるべきポイントは3つだけ!

銀行融資の大切な仕事のひとつとして、取引先企業の決算書分析があります。銀行では中小企業から提出される決算書を使って融資ができるか、できないかを判断します。新入行員から出納窓口や渉外係などのキャリアを積んでいくと、いつかは法人向けの融資をしなければならなくなりますが、決算書の見方は戦う武器として最低限装備したいものです。

社長から決算書を手渡された瞬間にこのシリーズが役立ちます

最初に断言します。融資初心者の方が最初にぶつかる壁は、中小企業の社長から1年間の会社の成果が記された決算書を受け取る瞬間です。多くの中小企業の経営者は、会社の1年の成果物を、直接入社数年の若手担当者に直接手渡しています。それなのにただ黙って決算書を受け取っていませんか。融資担当者は、決算内容が良い内容でも悪い内容でも、臨機応変に自分なりのコメントをしなければ担当者失格です。社長も相当の緊張感を持って銀行に決算書を開示しています。誠意をもって応対しましょう。

 

中小企業を相手にする銀行の見方は教科書とちょっと違う

銀行はさまざまな研修が充実している会社です。取り扱う商品が膨大でなおかつお金を扱わなければなりませんから、覚えることも膨大なためです。

当然法人向け融資の研修もあるのですが、研修内容は難解かつ教科書的で実践で役に立たないことがほとんどです。なぜなら、多くの決算書の教科書は財務分析を中心に作られているからです。簿記やFP、銀行業務検定等の勉強すると「流動比率」「自己資本比率」「インタレスト・カバレッジ・レシオ」等の言葉が飛び交いますが、その言葉自体や計算式を覚えたところで実務ではほとんど使いません。決算書の数値は銀行内のコンピュータに自動で取り込まれ、参照しようと思えばすぐに確認できるからです。

実際の社長とのコミュニケーションの場で瞬時に活きるワザを身につけましょう。

要は貸せるか貸せないかを判断できれば良いのです。銀行員は分析家ではありません。倒産しない健全な企業に、適切な融資を行うことができればいいのです。

 

見るべきポイントはここだけ!「表紙」、「貸借対照表」、「損益計算書」

銀行が融資先から提供を受けるいわゆる「決算書」とは、「決算書報告書」の表記がある冊子に加え「確定申告書類(別紙を含む一式)」「決算書科目明細書」「固定資産明細表」等多岐に渡ります。お客さんに「銀行さん、決算書はどこまで提出すればいいの?」と言われたら上記書類を依頼して下さい。要するに、銀行としては総勘定元帳以外全部欲しいです。

最初は書類の枚数が膨大で訳が分からないと思いますので、まずは「決算書」の冊子にある「表紙」「貸借対照表」「損益計算書」の3つの書類を覚えていきましょう。

 

「表紙」の見方

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意外と大切なのが決算書の表紙です。フォーマットは様々ですがここには「会社決算は何期目なのか(例:第●●期)」「決算期はいつなのか(例:平成26年4月1日〜平成27年3月31日が事業期間の会社であれば決算期は3月)」「商号(会社名)」の情報が載っています。

 

何期目かを知ることでおおよその業歴がすぐに分かります。

3期目であれば創業間もないということになりますし、47期目であれば、業歴が長く安定してそうとか、この社長は創業二代目の社長なのでは?等です。

融資先の決算期をみれば「お願いセールス」ができる会社かどうかの判断ができます。

いきなりこのような話で恐縮ですが、銀行自体の決算は3月31日であることが多いです。その場合、半期決算の締めは3月と9月ですので、もし融資先の決算期とかぶってしまうと、銀行が融資残高を積み上げたい期末に、融資提案ができない恐れがあります。融資先は、できれば借入金は減らして財務内容をスリムにして決算を迎えたいからです。

このルールを知っておくと、無知なまま決算期が3月や9月の会社に対し誤って融資提案をして「××銀行は自分たちの利益ばかり考えている」と評判を落とすこともなくなります。

そして、商号(会社名)です。

一目見てどのような事業を行っているのか分かる会社もあれば、そうでない会社もあると思います。言うまでもなく社名は会社を会社たらしめる大切なものです。しかし、融資担当歴が慣れてくるほど、担当先の社名の由来について深く聞くことがなくなっていきます。初心者のうち、あるいは赴任して間もない頃でないと、社名の由来は聞きづらくなりますので、決算報告の場で話してみるのも良いと思います。

 

以上、表紙のみるべきポイントでした。これを知っておけば5秒くらいで会社の入り口か少しでもわかるかと思います。

次回は「貸借対照表」のみるべきポイントをご紹介します!

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