忘年会といえば「新入社員の一発芸大会」が恒例行事になっている会社はもはや少ないかと思います。新入社員に一発芸を無理矢理やらせるのは、なんとなくパワハラな香りがしますし、時代に遅れな感じもしますが、銀行のクリパは一つの登竜門です。
銀行では「決められたとおり」を何より大切にします
銀行は突然発生するような、イレギュラーなことが起きることが大嫌いです。キングオブ保守です。
決められたことは、決められた通りにやるんです。クリスマスパーティー(以下クリパ)と称して行われる大規模な忘年会は、決められた年中行事の中で重要な位置にあります。新入社員にとって最初の試練です。
下っ端である新入社員は、主幹事となって、いかにしてクリパを大成功させるか、そのためアレンジだったり、一芸だったりの腕を試されるのです。
ホテルの手配
クリパの1ヶ月くらい前から綿密な打合せをします。ホテルなどの大宴会場を貸し切って行うので、その手配や細かな装飾品、料理、席次などを決めます。
ホテル側もよく分かっているので、いろんな提案を持ちかけてきます。普段ホテルマンと会話しないし、こういうホテルの使い方なんかしませんからね。儲けの裏側なんかも見られて面白いです。
もちろん「一発芸」の企画は最重要ですので綿密に決めます。土日なんてありません。ドンキホーテに買い出しです。あとはひたすらYouTubeをみて一芸の練習に打ち込む毎日ですよ。
クリパミーティングは新入社員にとって最重要会議であり、たとえ仕事が途中でも放り出して定時退社して毎日参加しなければなりません。その間、周囲の一発芸への期待も半端じゃありません。「一発芸何やるの?」とか先輩社員に聞かれたりしますが、「期待していてください!」などと無駄にハードルを上げたりして当日まで備えます。
そして当日を迎える
クリパ当日。テキトーなトナカイとかに扮して皆様をお出迎えします。
「楽しんでます感」を出すのが一番大事なんですよこういうときはね。たとえつまらなくても面白そうに見せておくのも技術ですからね。
すべてが用意周到
司会進行は分単位で決められた通りに、台本通りにやります。この段取りがすべてであり、「決まっている感」があるというのが銀行では大事で、普段の仕事同様にミスは許されない雰囲気です。あとは席次。誰と誰が仲が悪いとか良いとか、行内の情報を集めてうまーくまとめる力が要求されます。キングオブ身内接待!
乾杯や、えらい人の挨拶、ご歓談がしばらくあって、いよいよ一発芸を行うのですが、基本、滑ります。
イリュージョンみたいな見た目が派手なものとか、よっぽどの才能があれば別だと思いますが。まー滑るために一発芸をやるようなもんですからね。度胸試しです。
ちなみに一発芸をやるのは女性だって例外ではありませんでした。このあたり、会社が求めるものは男女の差別がない、というのは良いことなのかもしれませんが女性大変ですね。
滑っても、あとは酒を飲めばなんとかなります。会の最中はもれなく皆様にビールを注ぎに行きます。
今思えば、こういう大広間みたいなホテル会場で酒を注ぎに回ること自体を学ぶ場なんですよね。普段はなかなか話せない相手でも、今日は自分たちが主役なんだからみんな話しかけてくれますしね。
ビンゴ大会も抜かりなく!
んで、一発芸大会で散々くたびれたあとは、これまた恒例のビンゴ大会。一昔前だと液晶テレビとかルンバとかiPadとか高額商品が登場します。ベテラン女性社員なんかは一発芸なんかよりも、これらの高額商品目当てで、普段飲み会参加しない層も来たりしますね。料理もそこそこ良いのを用意するので、当の新入社員以外はみんなハッピーになる会なんですよねー基本的には。
あとはハズレ賞としていくつかネタを仕込んでおく・・・こういうときにうまい棒の袋買いとか使うんだなーと知りました。カタログギフトみたいなのも用意したなあ。すみません、このあたりは、ほんとセンスがいい人が仲間にいることが大事なんですよ。
無事にクリパを乗り切ったら、あとの二次会三次会は反省会と称してまたまたいじられる…と1年目をひたすらいじられる会なんですよねクリパは。
まとめ
このクリパの準備によって、自分でプロジェクトを仕切って動かしていくことの苦労やコツを学ぶことができますね。一発芸というある種の自己犠牲により吹っ切れる体験もあろうと思います。まあ、当時は死ぬほど嫌だったですけど。