こんにちは、りゅうです。
銀行と不動産は切っても切れない関係です。銀行で担保といえば、不動産はその代表です。大きな買い物である不動産は、銀行融資と深い関係にあります。
ですが不動産というのは関連する仕事やってないと、取っつきにくい、銀行と同じような狭い業界だと思います。今回は、実務で役立つ不動産本を1冊紹介します。
「不動産の基本を学ぶ」です。

「銀行員に向けて書きました。」って帯に書いてますからね。読みました。
- ポイント1:不動産屋の仕事について書いてある
- ポイント2:とっつきにくい登記簿謄本について書いてある
- ポイント3:不動産売契と重説について書いてある
- ポイント4:不動産屋からみた銀行について書いてある
- まとめ
ポイント1:不動産屋の仕事について書いてある
不動産屋は銀行の内部事情についてやたら詳しいです。組織がどうなっているか、銀行が無理できる範囲も知っています。担当者ではなく、すぐ支店長に頼りに来るのも不動産屋が多いです。「ああよく銀行のこと分かってんなあ」と銀行員だった頃思っていました。
このように不動産屋は銀行について詳しいのに、銀行員は不動産屋についてあまり詳しくありません。銀行員は不動産売買契約書や重説、さらには建築確認申請、済証は、審査書類になりますので基本的に全ページがんばってコピーしますし、担保評価も行いますので、不動産自体にはそれなりに詳しくなるのですが、「不動産屋」そのものについては銀行員は詳しくないです。
不動産屋は口一つで営業をこなします。オラオラ系も多いです。特に財閥系。だから銀行融資も巧みな話術で銀行から引き出します。銀行員も貸出残高を伸ばしたいので不動産屋からの甘い誘いにも乗りがちなのですが、そもそも不動産取引はどのようにして行われるのかを学んでおかないと後で痛い目にあいます。
本書では先輩社員と若手社員の会話形式で序盤の導入が展開されるので、わかりやすく不動産屋について知ることができます。交渉術「ついてもいいウソ」なんかも書いてあるので、不動産屋にやられないためにも(?)見ておいて損はないです。
ポイント2:とっつきにくい登記簿謄本について書いてある
不動産は登記簿という公的書類に基づいて取引が行われます。この登記簿謄本は、若手銀行員は特にとっつきにくいです。慣れてくれば見るべきポイントがわかるのですが、実務だけで覚えていたのでは時間がかかります。
本書では「実際の公図など登記簿見本」や「建築確認申請書の見本」を使いながら、役所の関連部署やポイントがわかりやすく整理されています。法務局建物内部の略図まで書いてある笑(笑)。実際に銀行員は法務局に行くことが少ないので、臨場感あふれる解説となっています。
余談ですが法務局は一度で良いから行くべきですね。ぼくは自分のミスで法務局の領収証の宛名(収入証紙ですが)を修正しに行ったことくらいしかなかったですが、それでもどういうものか体験できましたから。
ポイント3:不動産売契と重説について書いてある
売買契約書(売契)と重要事項説明(重説)は不動産取引では最重要です。このためだけに宅建はあるといってもいいくらい。
本書では売契と重説について実務を元にして書いてあります。印鑑証明書の有無、実印取引か認め印で良いかなど、細かいところまで書いてあるので参考になります。所有権移転登記と抵当権設定登記は同時に行われるので、銀行と必要書類が重複したりするんですよね。必要書類を伝達ミスするのは初心者銀行員がよくやりがちです。コレを読んでおけばそのあたりもばっちりです。
ポイント4:不動産屋からみた銀行について書いてある
不動産屋の立場は強いです。融資案件を持ってきてくれる上顧客なうえ、一方的に情報を知りすぎているので、様々な業界を広く浅く知る必要がある銀行員は知識、経験ともに不動産屋に劣ってしまいます。
本書では銀行対策として、どうしたら融資を引き出せるのかについて書かれています。特に住宅ローンについて書かれていますので、新人ローン担当者は参考になると思います。
また、いかにして不動産を買わせるかについても触れられています。「買わせる」というと押し売りのようにみえますが、不動産は大きな買い物ゆえに踏ん切りがなかなかつかないもの。買主にとって良い買い物だと思うのなら、不動産屋は買主にその物件を買わせるべきです。その考え方については銀行員も参考になるはずです。
まとめ
銀行には「銀行業務検定」という業界資格があります。不動産については法務である程度触れるのですが、それ以外でまともに不動産について銀行員が触れる機会はありません。宅建が士業になり注目されていますが、銀行員がカジュアルに受験するにはハードルが少し高いです。
ぼくのまわりでは2割くらい有資格者がいましたが、実務経験がないので箔が付くくらいの感じだったでしょうか。本書は銀行員なら少しはかじっておいた方が良い不動産知識を短時間で学べるのでおすすめです。また図や表が多いので、ふせんつけておいて困ったときに読めるようにしておいてもいいと思います。