銀行って資格がたくさん必要らしいけど、実際に役に立つ資格って何なのか知りたい
必須の資格もあるけど、できる限り最短で資格を取っていきたい。正解はあるの?
この記事でわかること:
- 銀行員が取るべき必須資格がわかる
- 銀行員が取っておくと有利な資格がわかる
- 銀行で出世できる資格がわかる
元銀行員の私が、銀行員の資格のあれこれをお伝えします。
銀行員が取るべき必須資格とは
結論:最低限取らないといけないのは、
①生命保険損害保険募集人資格
②外務員資格試験(証券外務員資格) です。
①生命保険(一般・変額)損害保険募集人資格
生命保険(一般・変額)と損害保険は入行後すぐに取らされます。
勉強時間としては10時間いかないくらいで、比較的安易な試験です。
はっきり言って、100人いたら95人くらいは合格するような資格試験です。
「けど、万が一不合格の5人に入ってしまったら・・・」と思うと、意外と精神的にはきつい資格でしょう。
②一種外務員資格(証券外務員資格)
証券外務員試験(一種・二種)についても銀行員としては必須資格となります。
証券外務員は新卒で入った銀行員の登竜門でしょう。私の経験からいって、一度落ちてしまうと2回目も不合格になる可能性を秘めた恐ろしい試験です。
まず、合格率を確認します。
証券外務員資格の合格率(2018年実績)
試験種類 一種 二種 受験者数 4,782名 3,870名 合格者数 3,160名 2,573名 合格率 66.1% 66.5% 出所:日本証券業協会
公式サイトで公表している合格率は6割程度です。
高くもなく低くもありませんが落とし穴があります。
この合格率とは「一般受験者」の合格率なんです。
つまり、金融機関での集団申込の数字は含まれていません。
一般受験者とは、本当に証券外務員資格を取得したくて受験する層であり受験意識は高いです。いっぽうで、金融機関での集団受験は意識の高い層から低い層まで様々です。
つまり、実際の合格率はもう少し低下すると推察されます。
冒頭で証券外務員資格試験は登竜門と述べました。
これから銀行員をやっていくにあたり、証券外務員資格に限らず、資格は大量に取らされることになります。
万が一ここで失敗してしまうと、「こいつはこれから銀行員としてやっていけないな」という烙印を押されかねません。
試験の内容・難易度としては、テキストを一冊3周回せば余裕で合格点は取れるものです。
しかし、ある程度テキストから文意を読み取って、暗記したことを正確にアウトプットできるスキルは、人それぞれまちまちで、意外と苦戦する人も多いんです。
楽勝と思って侮ってはいけません。一種試験で当行では合格率が50%台まで低下した年もあるそうですから、万全の体制で臨むべき試験です。
2022年から外貨建保険販売には「外貨建保険販売資格」が必要になります。昨今の高齢者を騙すようなセールスを封じ込めようとする資格と思われます。
受験者見込が85万人にも上るそうです。これだけの受験生がいるのですから恐らく難易度は高く設定できないでしょう。「銀行員は保険を売ってなんぼ」ですからね。難しくても一種証券外務員資格程度だと予想します。
銀行員が取るとベターな資格試験
銀行業務検定
銀行業務検定検定については本ブログでも攻略法を詳しく解説しています。
銀行業務検定 カテゴリーの記事一覧 - 元銀行員りゅうの雑記
なぜ銀行業務検定を取得するのがベターかというと、裏の昇進要件となっていることが多いからです。
前に勤めていた銀行の場合は、最初の昇格試験では「法務3級」「財務3級」「税務3級」の3資格は昇格必須要件でした。
また、主任クラスの昇進要件としては「法務2級」「財務2級」「税務2級」からいずれか2つ以上の資格取得が要件でした。
つまり、銀行業務検定は昇進試験なんです。もちろん、銀行によって捉え方はあると思いますが、実質的に昇進試験の一部になっていると考えておいた方が良いです。
「任意の資格試験なのに、研修担当の副支店長や次長にやたら取得奨励をされて、万が一不合格だと詰められる・・・」という経験があるかもしれません。
これは管理職に部下の取得状況のノルマがあるからです。
まさか銀行業務検定協会からキックバックがもらえている・・・とは思いませんが・・・それにしても銀行内でしか通用しない資格をここまで奨励している銀行は不思議な世界です。
ちなみに、銀行業務検定の法務、財務、税務の2級レベル、他投資信託、融資管理等一通り取得させられましたが、実際に業務に生きた例は、ありません。
ですので、あくまで忍耐を試すための試験です。銀行で生きていくために必要な試験ですから、ぜひ最短ルートで無駄なく取得を目指してください。
FP(ファイナンシャルプランニング技能士)試験
FP試験については、これは結構メジャーとなっている試験ですね。
最低でもFP2級、できれば1級まで取れると昇進への道が近づきます。
私の勤めていた銀行では1級まで取得していた行員は20名いくかいかないか位でした。つまり、FP1級が合格できれば上位20名に食い込めます。
FP3級でも税制など実生活に役に立つ&取っつきやすい試験ですので、初期の取得をおすすめします。ただ、FPについては銀行業務検定ほど行内で奨励はされていませんでした。キックバックがもらえないからでしょうか・・・(笑)
宅地建物取引士(宅建士)
珍しく銀行業界以外のメジャーな試験で知名度のある試験。
宅建士については、上記の資格試験よりも難易度は高い試験になりますが、ぜひ取得をおすすめしたいです。
銀行では不動産知識が結構実務で問われる機会が多いです。土地売買などを専門にする会社とやり取りすることも勿論多いですが、中小企業単体でも土地建物を動かす機会って多いです。
ですので、宅建士の資格があると中小企業の社長さんに「最低限持っているのね」と一目おかれるチャンスになります。
まあ、登記や売買などは当然不動産屋がやるわけなので、手続でこちらが関与してミスるということはないのですが、最低限知識と資格を持っていると役に立つ資格になります。転職の際も堂々と履歴書に書けますしね。
LECなど、通学で資格取得を目指すとペースメーカーとなりおすすめです。
出世の道が開ける資格
中小企業診断士
診断士については、行内で持っていると威張れる資格になります。出世はもちろん、転職の際も有利な資格です。
中小企業大学校経由(半年間の養成課程通学)で取得している人もちらほらいました。そういう人は会社のお金で中小企業大学校に通えるわけなので、将来が見込まれるエリートです。
独学で中小企業診断士を取得するのは、結構ハードルが高いかとは思いますが、合格すれば一気にタダで研修行ったエリートに追いつけるわけですから、一発逆転には使えそうです。
証券アナリスト
証券部門で活躍したいのなら目指したい資格です。
というか、これを取ったらそれこそ転職が視野に入る気はします。
証券会社からの転職組が持っているイメージで、プロパー行員が取得しているイメージはありません。取得できれば、間違いなく行内の評判はあがると思います。
資格取得地獄に疲れたら
資格の取得にさえノルマが課されて詰められるのが銀行員の宿命です。
休日も休みなく資格試験の勉強をしていると
「こんなはずじゃなかった」
と思う瞬間があると思います。
私は銀行に10年勤めた後、転職を果たして幸せな生活を送っています。
銀行員時代は、配属先に恵まれたことや、資格関係はそこそこ取得できていたので、比較的順風満帆な銀行員生活を送れていました。
しかし、閉塞的な毎日に息苦しさを感じながら、10年もの長い年月を銀行で過ごしてしまったことを後悔しています。
「転職してしまうと、長年積み重ねてきたものがリセットされるんじゃないか」
といった不安もありましたが、実際に転職を果たしてみると、不安どころか、あのモヤモヤしていた日々を後悔するくらいまともな生活が待っていました。
銀行を辞めるとき、よく周りから「もったいない」と言われます。
本当にもったいないのかどうか、解説しておりますのでよろしければご覧ください。