印鑑登録しっぱなしって危険!?銀行での実印の確認方法とは

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

f:id:a-style:20160106160317j:plain

こんにちは、りゅうです。

今日は印鑑登録の話です。実印、持ってますか?

印鑑登録って普段なじみないですよね。銀行にいると毎日印鑑証明書に何通も触れて印鑑照合とかするんですが(笑)銀行での実印とか印鑑証明書の位置づけはどうなんでしょうか。

印鑑証明とは

印鑑証明とは、個人なら住んでいる自治体に印鑑登録することで、自治体がその印鑑が本物ですよと証明してくれることです。役所という公的な第三者が証明してくれるので、書類の信頼性を高めるために使われます。

印鑑登録とは、お手持ちの印鑑をあなた個人の印鑑として、公に証明するために登録することをいいます。

区役所に印影の登録をしてあるものを実印といい、重要な契約や取引などをする際に本人を表すものとして、印鑑登録証明書と一緒に使われます。

 

出典:文京区 印鑑登録 

http://www.city.bunkyo.lg.jp/tetsuzuki/koseki/inkan/toroku.html

印鑑登録された印章(ハンコ現物)は「実印」といわれます。実印は、実印として販売しているものを買ったものでなくても、例えば100均で買ってきたハンコでも役所に登録すれば実印です。

個人なら印鑑証明書が必要な場面は人生で4つ

経営者など、実印を頻繁に使う機会がある人を除いて、一生のうち個人で実印を使う機会はそんなにありません。ざっくり以下の4つのパターンかなと思います。

1.普通車購入時

新車でも中古車でも自動車登録時に実印での押印と印鑑証明書の添付が必要になります。

2.住宅ローン借入時(不動産売買)

不動産を買ったりすると、持主を明確にするため不動産の登記が行われます。その際に法務局という役所に印鑑証明書を提出する必要があります。

また、不動産という大きな買い物の場合はローンを組むことが多いですので「ローン契約書(金銭消費貸借証書)」に、間違いなく本人が、本人の意思で契約を行ったという証として銀行に印鑑証明書を差し入れます。

3.保証契約時

マンションなどの賃貸契約時に、連帯保証人を差し入れる場合などのケースです。

また、連帯保証人がいないとお金が借りられない!といった場合に保証契約という契約をします。銀行では保証契約はとても大切な契約なので後述します。

いずれも「保証契約証書」に署名捺印のうえ、本人が本人の意思で保証契約した証として印鑑証明書を契約書に添付します。

4.遺産分割協議書作成時

身近な人が亡くなった場合、その遺産をどう分割するかを定めた書類です。分割の内容に合意したという証として、被相続人(相続を受ける人)が、それぞれ署名捺印して印鑑証明書を添付します。「遺産分割協議書」そのものはテンプレートがなく割と自由かつ個人で作るのめんどくさいんですが、この書類を元に銀行が亡くなった方の預金などを被相続人に移したりするので、とても重要な書類です。

銀行では筆跡が重視される

さて、銀行では実印とそれを証明する印鑑証明書はどんな取扱いなんでしょうか。結論からいうと、印鑑証明書はなくしたら銀行員終わるレベルで重要な書類です。複製きかないですし、証明書の発行日の記載もあるので、後日取り直しもききません。

ですが、銀行は「実印が押してあること」だけで契約書が有効であるかどうか判断しません。契約時にお客さんにお会いしたらいの一番に「運転免許証」などにより本人確認しますし、印鑑証明書に記載されている住所、氏名が契約書に記載されている住所、氏名が一致すること、また筆跡は本人であるかどうかが重要視されます。

ネット銀行など一部を除いてローン契約は、書類を「面前で」書くことを求められます。住宅ローン契約は、通常取り扱う書類が膨大です。お客さんに書いてもらう書類も当然膨大なので、初心者のうちは書類の取扱いに苦労するんです。

ぼくが若かりし頃、お客さんに書類を書いてもらう時間に何か別の仕事をやろうとしたんです。そうしたら上司に「なんで署名に立ち会ってないだ!」と怒られました。細かいことですが、後日「私は署名なんてしてません」だなんて言われたらやばいからですね。署名する側としては、ただでさえ緊張&書くのに慣れていないから、ジロジロみられると余計緊張するんですよねー。よく嫌がられてました。ごめんなさい。でも仕方ないです。

保証契約時は特に慎重になる

保証契約時は更に大変です。住宅ローンの契約では、仮にお客さんに「私はお金借りてないし署名なんてしていません」と言われても「いや、契約書記載の金額があなたの通帳に記帳されてるじゃん」と裁判で主張できるので、そこまで神経質にならなくてもいいんです。

保証契約はそういった証拠書類がないので、本当に保証契約が本人の意思で行われたことを証明するのがとても難しい。たとえ実印があったって本人の意思があったことを証明しないと勝てないんです。

保証契約はとても強力な契約です。通常保証契約は「連帯保証」という契約で行いますが、契約の対価(契約書に署名をしてお金をもらう)がないのに、主債務者(お金をもらう人)と同等の債務を負うという一方的な契約だからです。

だから本人から面前で署名捺印をもらうほか、保証契約をもらった経緯や、保証人の外見の特徴、その時の会話から間違いなく本人が署名したという「レポート」を必ず銀行は残しています。そうしないと、万が一主債務者にお金を返してもらえなくなって、保証人にお金を返してもらおうとしたときに、バックレられてしまう可能性がありますからね。

保証人はあぶないのか

「保証人には絶対なるな!」という言葉がありますが、それもケースバイケースだなと思います。例えば住宅ローンを組むときに、建物はお父さんの名義で、土地はおじいちゃんのものといった場合、おじいちゃんも連帯保証人としないとローン組めない場合があります。

そういう場合はあまり神経質になる必要なんかないです。仮に連帯保証人になったって、家を売り払えば債務はそこまで莫大に残らないです。住宅ローンはデフォルト率(お金が回収できなくなる確率)が非常に低い優良商品です。みんな家だけは、と、最後まで守ろうとするんです。

このケースでは保証人が親族であり、住宅購入で生活が豊かになること、確率からいっても保証契約履行までに至る可能性が低いので、そんなに連帯保証人になることに戸惑う必要はないと思います。

保証人になるとやばいのは、担保にできるような資産が無い、あるいは処分性の低い資産しか持っていないのに保証人を求められるケースです。

もっとも最近では銀行は保証人を求めづらくなっているので、銀行から「保証人よこせ!」という話にはならないかとは思いますが。

公正証書遺言偽装事件

銀行だけでみれば、「原則面前・自筆が重視される」ので「実印単独で悪用される」というケースはレアケースだと思います。

ただ、相続(遺産分割)にかかるケースでは実印の悪用に気をつけなければならなそうです。過去に「実印がある+印鑑証明書の添付がある」という事実だけで契約書の有効性を判断した公正証書が、実は偽装だった、ということがあるようです。

相続については利害関係者同士で話が進むし、これといった正解もないので、とても揉めやすいんです。印鑑証明書も親族だったら比較的簡単に役所でとれますからね。使いもしないのに印鑑登録しておくことを止めたり、印鑑登録した「実印」や印鑑登録カードについては大切に保管するなどして自衛するしかないですね。

まとめ

銀行では「契約書に押されている印鑑が実印であり、印鑑証明書もある」という他にも様々な手段で契約書の有効性を補強しています。なので銀行では本人の取り違いはまず起こりえないかと思います。

でもまあマイナンバーなどの他の本人確認手段の普及によって、印鑑はなくなっていくと思いますけどね。銀行員は「相当の注意をもって」印鑑照合するの疲れます。